年商3億越えから10億までの4ステップ
STEP1 社長1人では成長できないと覚悟する
STEP2 御社ならではの「商品」を作る
STEP3 マーケティング・スキームを作る
STEP4 即戦力人材を確保する

◇あなたの会社の「勝ちパターン」を作り込む

STEP2で「あなたの会社ならではの商品」を作ったら、次はそれをマーケティング・スキームに組み込んでいきます。
つまり、その商品に興味のある見込客を集め、セールスし、納品するという一連の流れを定型化し、各業務を社員に役割分担していくのです。
これが、ステップ3の「マーケティング・スキームを作る」ということ。言い換えれば、会社が自走できるように「勝ちパターン」を作るのです。

社長がいきなり現場を離れようとするのは間違い

このステップでは、社長が徐々に現場から退場していくことになります。そして最終的には、現場のほとんどを社員たちで回せるようにして、社長に頼らなくても売上が稼げるようにする。
くどいようですが、社長がいきなり現場を離れようとするのは間違いです。
進め方のイメージとしては、難易度の低い業務から定型化し、社員ができるようになったら社長が足抜けする。
また次の業務を定型化し、社員ができるようになったら社長が足抜けする……この繰り返しです。

ここでいう定型化とは、業務の進め方や、その業務に求められるスキルをマニュアルなどに丁寧に落とし込み、社員にもできるようにすることです。
誰が定型化の作業を行なうかと言えば、ほとんどの場合は社長自身。
それまで現場のほぼ100%を社長1人で回してきたということは、業務の進め方やスキルを熟知しているのは社長しかいないからです。
コンサルティング会社などに頼む場合は別として、社長自らが社員向けのマニュアルを作成したり、OJTやロールプレイングなどのトレーニングを行ない、仕組みを整えていく必要があるのです。
こう見てくると、3億円の壁を越えようと決意した社長には、かなりの仕事が待ち受けています。
スタート時点ではどの業務からも足抜けできていないため、集客や営業などをこれまで通りにこなしつつ、その一方で業務の定型化も進めなくてはならない。
これは、たしかに苦しいことに違いありません。
しかし、会社を大きくしようと考えるなら、いつかはやらなくてはならない作業です。それなら、早く始めたほうが、早く成長できる可能性が高くなります。

◇年商3億越えは「今すぐ儲ける」を優先させる

それでは、STEP1で描いたマーケティング・スキームの「見取図」をお手元に用意してください。
社長がまず行なうのは、この「見取図」を見直すこと。どれだけ一生懸命に作り込んだ「見取図」でも、時間が経ってから見直すと漏れやおかしな点が見つかるのはよくあることです。
それに、STEP2で設計した商品と、このマーケティング・スキームがきちんと連動していないと効果が見込めなくなってしまいます。
ビフォーからアフターに到達するための施策がターゲット(顧客層)と合っているか、それらの施策に顧客価値を生み出すための方法(技術)が盛り込まれているか、などを確認してみてください。
もし、不備がある場合は、その部分を修正しましょう。
その作業が終わったら、あらかじめ付けておいた優先順位に基づいて、定型化の作業を粛々と進めていくだけです。

ただし、ここで補足しておきたいことがあります。
マーケティング・スキームは、次の5つのモジュールから成り立っています。

見込客の抽出→見込客の育成→セールス→納品→顧客化

このうち、「見込客の育成」や「顧客化」もたしかに大切ですが、3億の壁を越える時点までは、それ以上に「見込客の抽出」や「セールス」を優先させたほうが効率的で安全と言えます。
なぜなら、3億円企業にとっては、目の前の売上をきちんと上げることが何はさておき重要だからです。
この規模の会社は、資金的にはまだまだ不安定。売上が落ちてしまうと、会社がいつまで存続できるのか分かりません。
トップセールスの社長が現場を離れてからも安定して操業していくには、社長が抜けた穴をしっかり埋めなければならないのです。

会社を変えるのに焦りは禁物

ただでさえ、会社を変えるというのはお金がかかること。
商品を作るのだって、それなりの資金が必要です。仕事をスムーズに回すためには、人材だって採らなくてはなりません。
それら諸々の出費を差し引いても悪影轡が出ないようにするには、売上を生むまでに時間のかかる施策より、売上に直結する施策にまずは全力投球するべきです。
「見込客の育成」や「顧客化」は、仕事がきちんと回るようになって、資金的にもある程度の余裕ができてから取り組むのが無難でしょう。

ここからは、残りの3つのモジュールについて、定型化のポイントを述べていきます。
多くの業種では「納品」「セールス」「見込客の抽出」の順に足抜けしていくのが効果的なので、その順番で話を進めていきましょう。

◇納品の大敵、クレームを未然に防ぐ方法

多くの場合、社長が真っ先に足抜けするのが、この「納品」です。
「納品」とは、メーカーや商社で言えば、お客様のもとに商品をお届けしたり、商品の取付作業を行なうことです。
コンサルティング会社のようなサービス業で言えば、お客様のご要望に応じてサービスを提供することです。
この段階では、すでにお客様とのご契約が済んでいることもあり、社員に任せている会社も少なくありません。
その一方で、STEP1で述べたように、お客様からのクレームの多くがここで発生するため、それを心配して社長がなかなか手放せないのがこの業務でもあります。
社長が「納品」から足抜けするには、ボトルネックとなっているお客様のクレームや不満が発生しないように手立てを講じておく必要があります。そうすれば、社長も安心して任せられるはずです。

そこで、なぜクレームや不満が生まれるのかを考えてみると、じつは、その1番の理由は「商品」が不明確なことにあります。

たとえば、形ある商品の場合は、商品の機能を十分説明しないまま成約に持ち込んでしまう。
目に見えないサービスの場合は、サービス内容をしっかり決めないまま仕事を受注してしまう。
社長の信用で仕事を取ってきていると、これらが曖昧(あいまい)なまま契約を結んでしまうこともしばしば。
そのため、後になってから「こんなはずじゃなかった」というトラブルが引き起こされることがじつに多いのです。

1番危ないのが、コンサルティング業で言うと、月20万円なりのコンサルティング・フィーを支払っていただくような顧間契約を結んだ場合です。
お客様からすれば、「月20万円も払っているんだから、これもやってよ、あれもやってよ」と考える。
一方、仕事を引き受けた側にすれば、とてもそこまでは応じられないと考える。そのために「納品」段階でクレームが出てしまうことになります。
つまり、イレギュラーが出るからクレームが出るのです。

それを防ぐためには、商品を作るときにサービス内容をしっかり決めておくこと。このサービスに含まれるのは、この業務とこの業務です。
それ以外はイレギュラーになりますから、別途料金が発生します。
この部分の業務は弊社では行なっていませんので、専門の業者を紹介させていただきます。……という具合にサービスの内容を細かく決めておき、あらかじめお客様に合意してもらうことが大切です。
もっと言えば、口頭で説明するだけでは不十分です。商品やサービスの中身をきちんと可視化しておくこと。
具体的には、商品パンフレットを作成して、それをお客様に見せながら合意してもらうのが安全でしょう。

次に、クレームが出るもう1つの原因は、社員の納品スキルが低いことにあります。
納品の段取りを把握していなかったり、提供するサービスのレベルが低かったり……。その結果、お客様の不満や怒りを生んでしまうのです。
これを改善するには、納品業務の流れをきちんと定め、社員がスムーズに業務を回せるようにしておくことです。
そのやり方は、業種や商品によって様々でしょうが、最低限、次のポイントは押さえるべきです。

①業務をタスク(業務全体の中の1実行単位)に分類し、時系列で並べる

②各タスクで実行する項目を整理する

③各実行項目のポイントをまとめる

④各実行項目のインジケーター(振り返り指標)をまとめる

⑤右の4つをマニュアルにまとめる

⑥最初の1~3ヵ月間は、PDCAを回しマニュアルを精査する

たとえば、①の分類で「お客様からの問合せを受ける」という大項目ができたとします。
続いて②で「お客様のご要望に対応する」など3つの中項目ができたとします。
このとき③のポイントには「お客様に明るい声で対応する」など、各中項目を行なうためのポイントが複数入ります。
また、④のインジケーターには「お客様からのクレームが発生したか否か」など、後から振り返って評価できる指標をいくつか設定しておきます。

エクセルなどでマニュアルを作成する場合は、タテ軸にタスクが時系列に並び、ヨコ軸に大項目、中項目、ポイント、インジケーターが並ぶのが一般的でしょう。
これらをマニュアルに落とし込むと、⑤までが終わります。
大事なのは⑥です。マニュアルを作りっぱなしにするのではなく、
計画(PLAN) →実行(DO)→評価(CHECK)→改善(ACTION)のサイクルを回し、マニュアルの精度を高めていくこと。
これを1~3ヵ月間かけて繰り返し、社員が卒なく回せるレベルにしてください。

これら①~⑥までの手順を実行することにより、必要な項目が漏れなくダブりなく書き出せるはずです。

なお、飲食業ではこの「納品」が最も足抜けしにくい業務と言えますが、やはり、最終的には社長が足抜けしないと、3億の壁を越えるのは難しいと思います。
なぜでしょうか?
売上を増やそうとすれば、店舗展開が必要になるからです。

お店を2店舗、3店舗と増やしていこうとすると、社長が現場を切り盛りしていくのは困難になります。
お店を増やすためには、店舗のコンセプトを決めたり、立地を選定したり、開業資金を調達したりと、社長にしかできない仕事がたくさん発生します。
そのため、社長は納品業務を各店舗の店長などに任せ、もっと上工程の仕事に専念する必要が出てくるのです。
「納品」は現場に張り付いて行なう仕事ですから、どのような業種であっても、そこに社長がとどまっている限りは売上を伸ばすのは難しいと心得てください。

わたしたち株式会社CMSは社長退場コンサルティングをご提案しています。
今までに1000社以上の中小企業の実績を元に、業績回復に貢献できる人材を育てる方法、
個人の力量に依存せず、営業組織を組み立て成果を出し続ける手順を指南することができます。

もしあなたが、業績の壁、年商10億、30億円を超えたいならば、こちらの新刊書籍を手に取ってみてください。

社長が現場を離れて、幹部や社員へ営業を任せても業績を伸ばし続ける正しい手順が分かります。
そして、社長に代わる後継者を育て、会社を一代でつぶさない「仕組み」の作り方も学べます。

詳しくはこちらからご確認ください。