年商10億越えの4ステップ
STEP1 理念とビジョンを共有する
STEP2 人事制度を作る
STEP3 ビジネスモデルを強化する
STEP4 新卒採用を行なう

人事制度に隠された2つの役割

なぜ10億越えの方法として人事制度の話をするかと言うと、活用しだいで、次の成長ステージに上がるための強力な武器になるからです。
弊社がステージアップのコンサルティングを行なうときは、理念・ビジョンの共有と、人事制度の構築をセットで行なうようにお勧めしています。
その理由を、まず説明しましょう。

人事制度を作るというと、一般的には2つの日的がよく語られています。

1つめは、人件費の総額をコントロールすること。
会社がたくさん儲かれば、社員にもたくさん給料を払ってあげたいのが社長の願い。
けれども、銀行に借金を返したり、次の投資に回したりするお金も必要ですから、どうしても限度があります。だから、制度を作って適正レベルに抑えなくてはなりません。

2つめは、総額人件費を誰にどれだけ分配するかを決めること。
まだ年功序列が当たり前だった時代は、勤続年数や年齢の高い人ほどたくさん貰えました。
それが成果主義の導入により、頑張って成果を上げた人ほどたくさん貰えるように変わってきています。こうした分配のルールを決めるのも人事制度です。

ただし、目的はこの2つだけではありません。それ以外にも、私がとても大切だと考えていることがあります。

・人事制度をつくる本当の目的とは

・社員とのコミュニケーションの場になる

1つは、人事制度というのは、
会社の理念やビジョンを社員に伝えるための最高のコミュニケーション・ツールになるということ。

先ほどのステップ1で理念・ビジョンを明確にすると、社員に期待する役割が明らかになります。

「うちはこういう価値観を持って、こういうビジョンに向かって進もうとしている。そのためにこういう戦略を取っている。そうであれば、うちにとって1番大切な社員はこういう人材ですよね」
ということが、社内にハッキリ伝わるわけです。
それに基づいて、〇〇君がこの期間内にどれだけ貢献してくれたかを会社と擦り合わせましょう、というのが、理念やビジョンを浸透させる1番分かりやすい方法。
朝礼での唱和やクレドより、遥かに効果的な方法だと思います。なぜなら、社長の訓話にはまるで耳を貸そうとしない社員でも、給料がからむと興味を持たずにはいられないからです。

・マネージャーを育てる場になる

もう1つは、マネジャーを育成するための意識づけのツールになるということ。
「鍋ぶた組織」を「階層組織」に変えていくために、じつは人事制度が役に立つのです。

10憶円の壁に悩んでいる会社というのは、階層組織が一応できていても、社員の給料は相変わらず社長が決めているもの。
社長が鉛筆を舐めながら、「あいつは頑張ったから少し乗せてやるか」という具合に給料を決めていく。
社員が20人とか30人いたら全員の仕事ぶりなど見れるはずがないのに、社長1人ですべて評価しています。

そのため、部下の給料がいくらなのかを知らないマネジャーが多い。

社長と酒を飲むたびに「もっと部下を育てろよ」と愚痴を言われるのに、その部下がどう評価されていて、その結果としていくら給料をもらっているのか、マネジャーには分からないのです。
もしあなたが部下だったら、そんなマネジャーの言うことを聞くでしょうか?

とくに最近では、高い給料を提示しないと中途社員が採りにくくなっていることもあり、社長が調整給とかを適当に乗せて帳尻合わせをしてしまう。
すると、社内で評価されている主任クラスよりも、中途で入社したての平社員のほうが給料が高いことも往々にして起こる。それもマネジャーは知らないのです。

社員は同僚たちが給料をいくら貰っているかをだいたい知っていますから、マネジャーが部下に注文をつけると、言い返されたりするわけです。

「あいつなんて、オレより給料高いくせにそんなこと言われないじゃないですか。あいつがいくら貰ってるか、知らないでしょ」と。

これでは、マネジメントはとてもできません。
社内に部長とか課長という肩書きの人はいても、実質的にはマネジメントは行なわれていないのです。

やはり、マネジャーが真のマネジャーに脱皮していくには、権限と責任を持たせてあげることが大切です。
そのための1番の方法が、自分の部下の査定を行なうということ。ある意味、部下の人生にコミットするという習慣が必要なのです。
したがって、マネジャーがマネジャーになるための意識づけのツールとしても、人事制度を活用するべきなのです。

・理念・ビジョンを人事制度につなげる

いま述べた話を1歩引いて、会社全体のシステムのなかで人事制度が担う役割を整理しておきましょう。

上図をご覧ください。
まず、御社の活動の土台になっているのが「理念=価値観」です。
左側には御社の現状があって、これから右上の「ビジョン」に向かって進もうとしています。
このビジョンを実現するには「戦略」と呼ばれる作戦が必要で、戦略を実行するには「組織」を回していかなくてはなりません。

ここで、組織をきちんと回すためには、人を動かすルールが必要になります。それが、人事制度なのです。
これを見ると、人事制度は企業活動のなかで独立して存在しているのではなく、理念やビジョン、戦略と密接につながってこそ効果を生めることが分かるでしょう。

では、理念やビジョン、戦略とつなげるためには何が必要か?

制度を作るとき、運用するときのそれぞれにポイントがあります。

・人事制度をつくる際の注意点

まず、人事制度を設計するときは、会社が社員に期待している役割(期待役割)をきちんと制度のなかに埋め込むことです。
簡単に言えば、それぞれの社貝が理念やビジョン、戦略に合致した行動をとれたかどうかを測るモノサシを評価項目に入れ込む。
もし、社員がその期間内に「期待役割」に応えてくれたとすれば、それが給料や賞与に良い影響を及ぼすことになります。
逆に、応えてくれなかったとしたら、悪い影響を及ぼすことになります。

次に、人事制度を運用するときは、マネジャーが部下の評価をしっかり行なうこと。

期待役割を制度のなかに埋め込んだからと言って、それだけで制度が機能するわけではありません。
社員の仕事ぶりを誰よりもよく知っている上司が、その期間内の部下の行動を振り返って、適正に評価する必要があります。
評価するだけでなく、もし部下の行動が期待役割に届かなかったとすれば、届くように改善を促していくことが大切です。

「マネジメント=PDCA」と記してあるのは、
マネジャーが部下の行動に対して「計画→実行→評価→改善」のサイクルを回していくということ。
それができないと、人事制度は回らなくなってしまいます。

最近、成果主義の弊害が指摘されることも多いのですが、成果主義がうまくいかないのは、制度そのものの間題というより、
導入後の「運用」がうまくいっていないところに最大の間題があるのです。
マネジャーが日標管理を徹底し、制度のよき運用者となる。そうした行動を通して、
部下の仕事ぶりが修正されるばかりか、肩書きだけのマネジャーが本当の意味でのマネジャーに育っていくのです。

10億円の壁を越えるためには、人事制度が御社の理念やビジョン、戦略とつながっているか、
そして、いま述べた2つのポイントを押さえているかを、つねにチェックすることが大切です。

なお、先ほどの話で「人を動かすルールが人事制度」と述べましたが、誤解のないように付け加えておくと、人を動かすルールはその他にもあります。
人が入社してから退社するまで、要所要所にルールを設けておかないと、組織は回りません。
採用、育成、配置、評価……それに、会社を新陳代謝していくには代謝(退社)のルールも不可欠。退職金制度もその1つです。

たとえば、ジャック・ウェルチ氏がCEOを務めていたGEという会社は、人的資源管理に莫大なコストをかけていると言われます。
そして、1年間の個人成績を様々な観点から査定して、下位10%は有無を言わさずレイオフされるそうです。そのため、毎年何万人もが入れ替わっています。
また、GEでは社内の3人の候補の中からCEOを選ぶという規定があり、そのうちの1人が選ばれると、あとの2人は会社を辞め、他の大企業などのCEOになったりするわけです。
これらも、代謝のルールの1つと言えるでしょう。

何を言いたいかというと、人という資源を有効に活用しようとすると、理念やビジョン、戦略と、人を動かすルールがつながっていないとうまくいかないということ。
ですから、新卒採用でも、理念やビジョンが明確にされていない会社には、いい人材が入らないと言えるのです。

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