年商3億越えから10億までの4ステップ
STEP1 社長1人では成長できないと覚悟する
STEP2 御社ならではの「商品」を作る
STEP3 マーケティング・スキームを作る
STEP4 即戦力人材を確保する

◇あなたの会社の商品は、じつは社長そのもの

STEP1で、社長がマーケティング・スキームのどの要素から退場していくか、その手順が決まりました。
社長が退場するタイミングに合わせて、社員にどんな業務を引き継いでいくかも明確になったはずです。

3億円企業は社長個人で仕事を受注してきた

しかしながら、多くの社長は「それで本当に退場できるのだろうか?」と不安を感じておられるはずです。
これまで自分1人でほとんどの仕事を受注してきたのに、その自分が集客や営業をやめてしまえば、会社はたちどころに回らなくなってしまうだろうと。
たしかに、その通りです。いまの延長線上で業務を引き継ごうと考えても、それは到底無理な話。
なぜなら、3億円企業のほとんどは、社長個人の人脈で見込客を集め、社長個人の信用で仕事を受注してきたからです。
その状態を変えない限り、マーケティング・スキームの各モジュールを引き継いでいくことはできないのです。
では、マーケティング・スキームを社員なり会社のシステムなりに引き継いでいく前に、社長は何をやらなければならないのでしょうか?
それが、御社ならではの「商品」を作るということ。

商品をつくる

「商品を作る」と言うと、疑間を感じられる方も多いと思います。
売上3億円の目前まで業績を伸ばしてこれたのは、言うまでもなく、何らかの商品やサービスを提供してきたからです。
お客様がその対価を支払ってくれたから、売上を上げることができた。そういう意味で言えば、どんな会社でも商品やサービスは持っているとも言えます。
しかし、ここで少し考えてみてください。
その商品・サービスは本当に御社ならではのものと言えるのでしょうか。同業者の商品と比べて、どんなメリットがあるのでしょうか。
お客様が、他社ではなく御社から買ってくれている理由とは何なのでしょうか?

たとえば、乗用車というのは、A地点からB地点まで人を乗せて動かすという価値を等しく提供しています。
そのなかでなぜベンツが選ばれるかと言うと、ステータスが高いとか、
メルセデスケア(修理からメンテナンスまで3年間無料でサポートする保証システム)があると安心だとか、他のクルマでは得られない何らかの価値をお客様が感じているからです。
ところが、3億円企業の多くは、商品・サービスそのものに優位性があるわけではありません。

では、お客様は何を買っているのか?
社長そのものを買っているのです。

お客様が御社から買ってくれるのは、「この社長に任せておけば安心だかとか「この社長の経歴を見ると信用できそうだから」「この社長が熱心に通ってくれるから」という理由なのです。
要するに、お客様は御社の商品・サービスを買っているように見えて、じつは社長という「商品」を買ってくれているのです。
その典型が「何でもやります」という営業トーク。
3億円に満たない会社というのは、「何でもやります」「どんな仕事でも引き受けます」といった謳い文句で仕事を取ってくることが非常に多い。

たとえば、社会保険労務士事務所が、社会保険の届出業務以外に、人事制度の構築などを提供するのはよくあることです。
このとき、独自のメリットを訴求するのが難しいからなのか、「御社の悩みに合わせて柔軟に対応します」という営業文旬をホームページなどに掲載しているのをしばしば見かけます。
あるいは、社員が5人くらいのコンサルティング会社の社長にご挨拶した際、名刺の裏側を見ると事業項目が6個も7個も羅列されていました。
営業支援をします、人事制度も構築します、組織変革もやります、業務マニュアルも作成します、各種研修も請け負います……。
かくいう私自身も、創業当初は「フルカスタマイズ」のコンサルティングを売りにしていました。
「フルカスタマイズ」と言うと聞こえはいいのですが、要するに「経営支援なら何でも引き受けます」「ご要望通りに如何ようにも作り込みます」ということ。
業務が何1つ定型化されていなかったので、間口を広げたほうがお客様のニーズに対応しやすいと考えていたのです。
そのほうが、限られた人脈のなかで業務を受注するにも都合がよいわけです。間口を広げておいて脈がありそうな見込客を見つけたら、私自身がひたすら営業をかけて相手の方を説得する。
相手の方も「この人なら信用できそうだ」ということで、仕事をくれたりするわけです。

社長の信用で売れている現実

しかし本当は、「何でもできます」というのは「何もできない」のと同じこと。
たとえば、あなたが地場のスーパーの仕入担当者で和菓子のテコ入れを図ろうと考えたとき、「お菓子なら何でも作ります」「和菓子なら全部できます」という会社に発注するでしょうか。
それよりは、「みたらし団子なら任せてください」「羊羹ならどこにも負けません」という会社にお顧いしたほうが、美味しい和菓子を提供できると考えるのではないでしょうか。
もしあなたの会社が「うちは何屋です」と言えないとしたら、商品・サービスそのものが売れているのではなく、社長の時間や熱意、人柄、信用が売れているということなのです。
強みのない商品、競争優位性のない商品は、商品とは呼べないのですから。

◇他社ではなく自社で買ってもらう理由は?

御社の「商品」が社長そのものであるうちは、いつまで経っても社長は現場を離れられません。社長がお客様との接点を失ってしまえば、お客様が御社から買う理由がなくなってしまうからです。
だからこそ、まず「商品」を作ることが大事。お客様が買ってくれる理由を、「社長」から「商品」そのものにシフトしなくてはならないのです。

買ってくれる理由を社長から商品へシフト

この作業をマーケティング・スキームの構築よりも先にやる理由は、この図をご覧いただくと分かりやすいでしょう。

この図は、マーケティング・スキームの図とほぼ同じですが、1番左側、つまり上工程のなかでも1番の上流に「商品作り」が加わっています。
なぜ「商品作り」がこの位置にあるかと言うと、ビジネスモデル、すなわち「儲ける仕組み」を作るときの出発点が「商品を作る」ことにあるからです。
商品を作って、その商品に合わせた集客や営業を行ない、その商品の価値をきちんとお客様にお届けする。
こうした一連の流れを「ビジネスモデル」と呼びますが、ビジネスモデルはその商品の特性に合わせて構築しないと効果を生めないわけです。
極端な話ですが、高齢者向けに地方の温泉付きマンションを販売しようと考えた場合、若者が集まるウェブサイトにネット広告を出してもほとんど意味がない。
それよりは、田舎暮らしを支援するシニア向け雑誌に広告を出したほうが現実的でしょう。
商品の特性によって集客のやり方も異なるし、営業、納品、顧客化の方法も異なります。そのために、1番の上流に「商品作り」がなくてはならないのです。

儲ける仕組みをつくる

商品を作るのは、メーカーに限った話ではありません。
商品を作る=他社ではなく自社で買ってもらう理由を作る、ということなので、他社から既存商品を仕入れているような場合は、自社の商品が「売り方」だったりします。
たとえば専門商社の場合、他社で買うと納品まで1週間かかるのに、うちで買ってもらえば3日で納品できます。
コピー機などの販売代理店であれば、他社の保守サービスは翌日になりますが、うちはその日のうちにお伺いします。
輸入業者であれば、他社の商品はアジア製ですが、うちで卸している商品は本国ドイツ製です……。
このように、対象となるお客様がそこに他社にはない価値を感じられるとすれば、それも御社ならではの商品と言えるのです。

「商品を作る」というのは、難しい言い方をすると「USPを策定する」ということ。
USPとはユニーク・セリング・プロポジション(Unique Selling Proposition)の略で、日本語に訳すと「独自の売り」を策定するということです。
競争優位性と言ったほうが分かりやすいかもしれません。
この競争優位性が1つもない会社は、社長が売らないと商品が売れない会社なのです。

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