年商10億越えの4ステップ
STEP1 理念とビジョンを共有する
STEP2 人事制度を作る
STEP3 ビジネスモデルを強化する
STEP4 新卒採用を行なう

「期待役割」を社員の賃金に連動させる方法

ここからは、具体的な話をしていきましょう。人事制度に「期待役割」をどう埋め込むかについてです。

上図をご覧ください。

ひとくちに人事制度と言っても、4つの仕組みの集合体として成り立っています。
等級制度、許価制度、賃金制度、キャリアパスです。イメージとしては、等級・評価・賃金がお互いに結び付いていて、それにキャリアパスが合わさって人事制度になっている。
左側の「諸規定の整備」とは、会社が役所に届け出る書類を整備することです。
このうち「期待役割」を入れ込むのは等級制度で、それを評価するのが評価制度、その評価に基づいて賃金に反映するのが賃金制度という関係です。

・①等級制度

簡単に言うと、組織の階層を定めたものです。その人の経験や年齢などに応じて、細かく等級が分かれているはずです。
そして、この等級は、会社の「期待役割」を表したものになります。

どういうことかと言うと、社員の等級や職掌に応じて、会社がその人に期待する役割は違うわけです。
たとえば、総務部長に期待する役割と、営業部の新人スタッフに期待する役割は当然異なります。
その期待役割を明確にするために、会社は等級制度を作っていると言えるのです。
この等級制度で「期待役割」を明確にするためには、あらかじめエクセルなどで表組を作っておきます。
タテ軸に等級を並べていき、ヨコ軸には営業、総務などの職掌を並べます。
そして、それぞれの等級と職掌が交わったセルには、会社が求める期待役割を入れていきます。
たとえば、「うちの営業課長にはこんな役割を果たしてほしい」といったことです。
ここでのポイントは、前述のように、御社の理念やビジョン、戦略を反映した「期待役割」を設定することです。

・②評価制度

その期間内に社員がどれだけ頑張ってくれたかを評価する制度です。
上図のように、通常は「プロセス評価」「業績評価」「貢献評価」の3つの軸で評価を進めていくことになります。
評価の方法は、じつはこの3つの軸しかありません。
その期間内の取り組みはどうだったか(プロセス評価)、結果はどうだったか(業績評価)、過去にどれだけ貢献してくれたか(貢献評価)。
よく言われる成果主義というのは、業績評価に重きを置いた制度です。
また、日本企業を支えてきた職能等級制度は、結果的に貢献評価を重視しているため、年功序列のような給料になっていました。

一方、先ほどの「期待役割」と1番結び付きやすいのは、プロセス評価と言われている部分です。
たとえば、不動産業を営んでいるあるクライアントは、毎朝、掃除を日課にしています。
雨の日にも向こう3軒両隣まで、社長と社員が一緒になって掃除をしています。
もちろん、趣味でやっているのではなく、その活動を通して社員を育てたり、地域に貢献しようと考えているわけです。
こういう場合に、数字はすごく上げているけど、掃除をしなかった社員をどう評価するか。
掃除をしたからといってその個人の営業数字が上がるわけではないので、掃除の成果を測るのは難しいでしょう。
その場合でも、プロセス評価のなかに「毎朝掃除をする」という項目があって、それについて評価をすれば分かりやすい。
したがって、「期待役割」はプロセス評価の項目に入れ込んでいくのが最も適しているのです。

【プロセス評価指標の例】


プロセス評価指標の例を示しましたので、参考にしてください。

・③賃金制度

評価制度の3つの軸を賃金に反映させるための制度です。
賃金制度を設計するときは、プロセス評価、業績評価、貢献評価の結果を、賃金のどこに結び付けていくかを決めなくてはなりません。
会社によって、その考え方は様々でしょう。

たとえば、プロセス評価は月給の基本給に結び付けて、業績評価は賞与だけに結び付けるという会社もあります。
あるいは、月給は生活に影響するので上下させず、総合評価をつけておいて賞与だけに連動させるという会社もあります。

ただし、考え方としては、プロセス評価と業績評価のバランスをとること。
プロセス評価ばかりを重視してしまうと、取り組みはいいけど数字はさっぱり、という社員が増えたりします。
逆の場合は、みんなが数字を上げるのに一生懸命で、せっかく期待役割を明確にしたのに期待通りに動いてくれない、ということになりかねません。

たとえば、営業会社で言うと、マネジャーの仕事は、自分が売ることではなくて、組織で売らせることにあります。
ところが、プロセス評価が入っていないと何が起こるか。
部下をフォローするのが面倒臭くなって、部下の分まで自分で数字を上げようとする。
それでは、いつまで経っても部下は育たないし、マネジャー自身も育ちません。
したがって、プロセス評価をきちんと入れることです。
「部下の商談に同行したか」とか「部下を何名チーフに昇格させたか」などの評価項目を盛り込み、数字を追いかけるだけでなく、
マネジャーとしての仕事に取り組むように促すことがきわめて大事です。
いずれにしても、賃金制度はあまり複雑にしないことをお勧めします。
個々の社員が「なぜ自分の給料や賞与が上がったのか(下がったのか)」を把握できるようにしないと、運用が難しくなるからです。

・④キャリアパス

「期待役割」を埋め込むときに、意外に見落としがちなのが「キャリアパス」です。
キャリアパスとは、社員が仕事の経験を重ねながら能力や地位を高めていく道筋や、その目標を逹成するために職種や職場を異動する経歴を指します。
個々の社員が目標とするキャリアを目指して持てる力を発揮するには、それに見合った人事制度の設計・運用が欠かせません。
具体的には、次の2点がポイントになります。

・「期待役割」を設計するときに、社員のキャリアパスも考慮する

・「期待役割」が明示されたら、目標設定や評価のフィードバックの際に、マネジャーと本人でキャリアパスについてコミュニケーションを行なう

少し説明が必要でしょう。
等級制度のところで表組を作成し、等級・職掌ごとに「期待役割」を設定しました。お手元の表をもう1度ご覧ください。
もし全社員が同じ職掌のまま等級をタテに上がっていけば間題はないのですが、途中で職掌が変わることもあります。
たとえば、営業部のスタッフが3年後に企画部に異動するといったケースです。その場合は、ある時期にヨコにシフトすることになります。

その際、他の職掌からヨコにズレる可能性を考慮しておかないと、たとえば営業主任と企画主任の「期待役割」がまったくバラバラで、思い描いた道筋を歩むのが難しくなってしまいます。
だからこそ、その点を考慮しておくことが大事なのです。
加えて、実際に制度を運用しはじめてからも、マネジャーと本人が半年後、1年後、 3年後のキャリアパスを話し合い、それを意識しながら目標設定をする配慮が必要です。
そうすれば、「3年後に企画部に異動するまでに、この役割を果たせるように能力を磨いておこう」といったことをマネジャーと本人が握れるようになります。
人事制度をキャリアパスに合わせるには、この2点をセットで行なうことが重要です。

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