年商10億越えの4ステップ
STEP1 理念とビジョンを共有する
STEP2 人事制度を作る
STEP3 ビジネスモデルを強化する
STEP4 新卒採用を行なう

年商10億円の壁を超えるために必要なこと

・組織が崩壊する正体とは

このように説明してくると、「10億円の壁」の正体がもうお分かりだと思います。
そうです。
ビジネスを円滑に回すための組織ができていないことです。

3億円企業の1番の間題点は、
「オレ様」社長が何から何まで1人で行なっていることでした。

そこで、3億円の壁を越えるために、商品を作り、マーケティング・スキームを設計し、
1つ1つの業務を定型化し、社員にできることから役割分担していきました。そうして、社長は一応は現場から足を抜けたのです。

その後、3億を越えて売上が伸びていくと、社員が徐々に増えていきます。
この時点で、大抵の社長は同じことを考えます。

「うちもそろそろ組織を作るか。あいつはそれなりに売ってくれてるから、部下を持たせてみよう」と。

こうして、マネジャーとか課長と呼ばれる人が何人も生み出されていきます。

組織図を見る限りでは、もう立派な組織です。
社長とその他大勢の「鍋ぶた組織」ではなくなり、社長の下に何人ものマネジャーがいて、各マネジャーの下に何人ものスタッフがいる「階層組織」が出来上がるからです。
しかし、これで本当の組織と言えるでしょうか?
1番かわいそうなのは、部下を押し付けられたマネジャーたちです。マネジャーに昇格したからと言って、ノルマが減るわけではありません。
社長からは「死んでも売れよ」とプレッシャーをかけられ、社長が現場を抜けた穴を何とかカバーしようと、それこそ馬車馬のように働き続けます。

ところが、社長は社員が次々と辞めていくことに心を痛めていますから、ある日、マネジャーにこう言うのです。

「おまえ、部下をもっと育てろよ。マネジャーなんだからさ。自分で売ってるだけじゃ、おかしいだろ」

もちろん、マネジャーにそんな余裕などありません。
仮に余裕があったとしても、自分の下についたのは出来の悪い部下ばかり。育てようとするだけ時間の無駄というもの。
マネジャーは今日もまた、途方に暮れてしまいました。

これが、10億円の壁に突き当たっている会社の現実です。
社長が現場を抜けた後で、会社の屋台骨を支えているのはこれらのマネジャーです。
課の売上の半分くらいは自分1人で稼いでいるのに、社長からは「もっと売れ」「きちんと育てろ」と理不尽なことばかり言われます。

・社長ひとりでやっていたことを任せるだけでは成長しない

要するに、この規模の会社というのは、それまで社長が1人でやっていたことを、
プレイングマネジャーが何人かで分担しているだけで、組織として成長していける体制には程遠いことが多いのです。

しかも、プレイングマネジャーとは言っても、マネジャーとしての仕事はしていません。
その結果、会社の売上は伸びず、部下はいつまで経っても育たないのです。

次の項目では、そうした典型例を紹介しておきましょう。

・見た目は立派な組織でも内部は崩壊している

東京都内にコピー機の販売を手がけるY商会があります。
弊社がコンサルティングに入った当時は設立8年目を迎えており、社員は30数名でした。
ここのK社長の悩みは、3年以上も売上7~8億円の間を行ったり来たりしていること。
同業他社が売上を10億、20億と伸ばしているのに、Y商会はまったく伸びる兆しがありません。
社員はどんどん辞めていくし、組織もうまく回っているとは思えない。何とか売上を伸ばしたいと、私に相談を持ちかけてきたのです。

実際、弊社が幹部などにヒアリングを重ねると、組織としてはほとんど機能していないことが見えてきました。
一応、組織らしきものはあるのですが、部長や課長などにマネジメントをするという発想がありません。

「部下を育てるくらいなら、自分で売ったほうが早い」と思っています。

肩書きを持っている人はいても、実質的には「鍋ぶた組織」。社長がいて、ナンバー 2がいて、あとはその他大勢です。
社長は現場から一応離れているものの、数字が悪いと何かと口を出してきます。
この会社がどんな価値観を大事にするか、どんな方向を目指すかなどの方針もなく、社長に直接聞いても頭をかしげてしまいます。

象徴的なのは、社員の大半が、酒を飲みに行ったりすると会社や社長の悪口ばかり言うこと。
彼らにすれば、売上は伸びないし、給料は上がらないし、何も教えてくれないしで、自分の将来に不安を感じているのです。
絶えず人が入れ替わるので、中途社員を大量に雇っては辞めていく、の繰り返しです。
社長もそんな状態に慣れてしまい、
「10人雇って3ヵ月後に2人残れば上出来」といった投げやりな態度で採用を行なっていました。
新卒採用も始めていたとはいえ、どんな人材を採りたいのか不明確で、最終選考まで残ると全員に内定を出していたほどです。

それでもY商会が3億円の壁を越えられたのは、K社長が優秀だったことに加え、Hさんというナンバー2がいたからです。

Hさんはこの会社に入るまで営業経験ゼロでしたが、次々にお客様を獲得し、その業界で全国でもトップ50に入るほどのスーパーセールスマンになりました。
当時、1人で約400社を管理していました。
そして、取引先がどんなビジネスを展開していて、社長がどんな性格なのかまでをしっかり把握しており、
「A社とB社のビジネスをつないだら喜んでくれるだろう」と機転を利かせ、それを鮮やかにこなしてしまうのです。

すると、お客様が新しいお客様を紹介してくれたり、お客様がコピー機を買い替えるときに「日頃お世話になっているからHさんから買おう」となる。
その好循環でお客様をどんどん増やしているのです。
ですから、K社長とHさんが売りまくり、その他大勢が何となく売ってくれれば、3億の壁は意識しなくても乗り越えられたのです。
しかし、それでは10億円の壁を越えるのはやはり難しい。
属人的な要因に頼って売上を作っているため、売れる人の数とポテンシャル以上は決して伸びないからです。
こうして、Y商会は何年にもわたって 10億円の壁に悩まされ続けているのです。

Y商会の間題も、組織として売上を上げる体制ができていないこと。
先ほど述べた「経営モデル」の各モジュールがつながっていないばかりか、1つ1つのモジュールも機能していないところに大きな問題があります。

企業活動の土台となるような理念も持たず、会社の方向性を示すようなビジョンもありません。

戦略についても、そもそも「商品」と呼べるものがない。
コピー機はどの商社で買っても同じなので、競争優位性にはなりません。
本来なら、お客様のご要望にきめ細かく対応できたり、コピー機が故障したらすぐ駆け付けられたり、
お客様の状況を把握して質の高いソリューションを提供できたりと、自社を選んでもらう何らかの理由が必要です。

・組織崩壊を抜け出すために実施した具体施策

K社長やHさんは1人の優秀なプレーヤーとして「商品」を備えていますが、お客様を集めるためにはそれを会社として備えなければならないのです。
そして最も深刻なのは、マネジメントが行なわれていないこと。たとえ営業マニュアルなどを整備しても、
マネジャーがマネジャーとしての仕事をするようにならないと、この規模の組織は回りません。
スタッフはいつまで経っても育たず、組織として売るような休制が作れないからです。「鍋ぶた組織」の限界がまさに露呈しているように思います。
こうした状況を抜け出すために、次のような施策を実行していきました。

・K社長が大事にしている価値観を探求し、会社の理念とビジョンを明確にした

・K社長が心がけていること(迅速さ、地域密着など)をもとに「商品」を作り込んだ

・マネジャー育成、および理念・ビジョン浸透のために人事制度を導入した

・営業スタッフのスキル底上げのためにマニュアルの整備やトレーニングを行なった

・採用のやり方を見直し、会社の理念・ビジョンに適った人材を採るようにした

これらの施策を約半年かけて行なった結呆、Y商会はその3年後に10億円の壁を越え、現在は25億円近くまで売上を伸ばしています。

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