年商10億越えの4ステップ
STEP1 理念とビジョンを共有する
STEP2 人事制度を作る
STEP3 ビジネスモデルを強化する
STEP4 新卒採用を行なう

年商10億円の課題:営業マネジャーに社員への教え方を教える

さて、見込客を営業マンの前にたくさん座らせることができたら、次は受注率を最大化するのが「セールス」の課題です。
3億越えのステップでは、営業マニュアルを作成し、「セールス・スタンダード」を確立しました。それにより、営業マン1人1人のスキルの底上げを図ったわけです。

では、10億越えの課題とは何でしょうか?

「マネジメント・スタンダード」を確立することです。

つまり、営業マネジャーが部下に営業のやり方を教えられるような仕組みを作ること。
それによって、属人の積み上げではなく、組織として数字を伸ばしていくことです。

・営業マネージャーが営業を教えられる仕組みをつくる

10億円企業で典型的なのが、社長の下に3~4人の営業マネジャーがいて、各マネジャーの下に3人くらいの営業マンがいる。
そして、営業マネジャーが課の売上の約50%を1人で上げているケースです。
ここで問題なのは、彼らはプレーヤーとしては優秀ですが、マネジャーとして部下を育てられない。
そのため、会社の売上はこれら営業マネジャーの属人に頼っています。
いきおい、営業マネジャーは、社長から「もっと売れ」と言われます。
その一方で「もっと育てろ」とも言われます。とくに新卒社員が入ってくると、辞められたら大変ですから、「もっと育てろ」と事あるごとに言われます。
こうした状態が続く限り、御社の営業はいつまで経っても変わりません。

では、何をどう変えればいいか?

まず、社長がマネジャーの役割を変えてあげることです。

営業マネジャーの役割のうち、営業マンとしての負荷を減らして、マネジャーとしての仕事を増やしていく。
そして、各マネジャーが組織(チーム)として数字を上げられるように、それを支える仕組みを会社が整えていくことです。
あとは、マネジャーとしての仕事をきちんと評価できるように、人事制度をそれに見合ったものにすること。
こうなると、社長が営業マネジャーに発信するメッセージも「もっと売れ、もっと育てろ」という大雑把なものではなくなるはずです。

「当面はプレーヤーとしても頑張ってほしいが、マネジャーとして部下が数字を上げるためのポイントをしっかり見てほしい。
そして、組織として数字を伸ばせるようにして、君の数字が50%じゃなくても回るようにしてもらいたい」
こう告げた瞬間から、営業マネジャーの役割が変わりはじめるのです。

・PDCAを回すのがマネジャーの役割

営業マネジャーの仕事を一言でいえば、「PDCAサイクル」を回すこと。自分の部下が数字を上げられるように、セールスのプロセスを分解し、プロセスごとに係数を管理し、
計画→実行→評価→改善のサイクルを回していく。そして最終的には、組織(チーム)としての目標額や日標件数を達成していくのです。
イメージとしては、次ページの図のようになります。

これはあるリフォーム会社の例ですが、まず、セールス活動の流れを4つのプロセスに分解しています。
「初回面談」「現地調査」「プラン・見積り提示」「成約」です。そして、営業マンがあるプロセスから次のプロセスに何%進んだかをすべてチェックしていきます。

すると、営業マン1人1人の係数が出てきます。たとえば、Aさんは「初回面談」で 10件のうち6件を次のプロセスに進めたのに、「現地調査」では10件のうち2件しか進めなかった。
これにより、Aさんは「初回面談」はうまくいくけど「現地調査」が弱い、と分かるわけです。
そして、その数字が想定される係数に満たない場合は、上司がAさんに指導をして、弱い部分のスキルを上げていくことになります。

営業マネジャーが係数を管理したり、PDCAを回していくには、そのやり方を教える「マニュアル」が必要です。
この場合は「営業マニュアル」ではなく、営業マネジャー向けの「マネジメント・マニュアル」になります。
これを社長がきちんと言語化し、その上で営業マネジャーに研修やロールプレイングを行なっていきます。


営業プロセスの係数管理(リフオーム業の場合)

ここでのポイントは、部下が係数に満たない場合にどのように指導するか、といったことまで細かく言語化しておくことです。
ここまで落とし込んでおかないと、マネジャーは動き方が分からなくなってしまいます。

・数字を落とさすにマネジメントする秘訣

最後に、数字を落とさずに、営業マネジャーの役割をシフトしていく秘訣を紹介します。
1日の活動の中で自分の能力を100%出し切っている営業マンはいません。
すべての行動をチェックしてみると、結構無駄なことをやっているものです。
営業数字に直結している行為、たとえばお客様のところで商談をしたり、お客様に提出する見積書を作ったりする行為は、1日の勤務時間のなかで30%未満。
残りの70%は、電車で移動したり、会議をやったり、サボっていたりするのです。
そういう分析をしてみると、稼働率を上げるための対策が見えてきます。

たとえば、新規開拓が必要な業種で営業マンの稼働率を上げるためには、次ページのようなマトリックスを作ってみます。
タテ軸に「現在の取引」が大きいか小さいか、ヨコ軸に「今後の見通し」が大きいか小さいかを取ります。
各欄には、便宜的にA社からD社までを入れておきます。

このなかで、どの営業マンでも1番大事にしているのが、現状の取引が大きくて、今後も伸びる可能性があるA社。
2番目に大事にしているのが、現状の取引は大きいけど、今後は伸びる可能性が小さいB社です。このA社とB社は誰もが頑張っています。

ところが、ダメな営業マンは、C社にも通っています。今の取引が小さくて、今後も伸びる可能性のないお客様です。
なぜかと言うと、いい人が多いから。営業活動の心の憩いを求めて、お茶を飲みに行ったりしているのです。
本当は、1日の貴重な時間をここで費やすのは無駄以外の何ものでもありません。
そして、営業マンが1番大事にすべきなのは、A社とD社です。
A社は、いわば現在の業績を作ってくれているお客様。D社というのは、今後の業績を作ってくれるお客様です。
このA社とD社に営業時間をどれだけ投下できるかが、稼働率を上げるポイントです。

実際、クライアント先の営業マンに聞くと、「忙しくて、新規なんかとても無理ですよ」と言います。
ところが、履歴を調べてみると、B社やC社にかなりの時間を使っていたりするわけです。
そういう場合には、この図を見せながら話をすれば、時間配分を変えてもらうことは容易にできるものです。

営業マネジャーがマネジメントに時間を使うためには、マネジャーが持っているお客様を何社か部下に渡してください。お客様を移動させるわけです。
そして、移動させたお客様のなかで、A社とD社に当てはまるところには営業マネジャーが同行するのです。
そうすると、営業マネジャーは数字に直結するお客様だけに特化して、プレーヤーの仕事をすることができます。
そして、お客様の移動によって生み出した時間を、マネジメントに充てることができるのです。

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